テレワーク環境を整えるための助成金の種類ともらい方

近年では新型コロナウイルス感染症の拡大などを受けて、各種の情報通信技術を活用し、自宅など通常のオフィスから離れた場所でも仕事ができる、テレワークの考え方がにわかに脚光を浴びています。テレワークを導入するためには機器の整備などの環境づくりが必要であり、国や自治体でもそのサポートをしています。

経済産業省のIT導入補助金

経済産業省では、中小企業や小規模事業者が自社の経営課題やニーズに合ったITツールを導入するにあたり、その経費の一部を補助して業務効率化や売上アップにつなげるためのIT導入補助金制度を設けています。通常枠のほか、新たに登場した低感染リスク型ビジネス枠の対象になれば、補助率が2分の1以内から3分の2以内に引き上げられます。後者の特別枠はテレワークができる非対面型のツール、労働生産性のアップにつながる連携型ソフトウェアやクラウド型ツールを活用する場合などに認められるもので、これからテレワークを推進しようとする企業などにはぴったりです。
補助対象となるのはソフトウェアや導入関連に要した費用で、低感染リスク型ビジネス枠の場合には、これらに加えてハードウェアレンタル費なども含まれます。申請にあたっては指定サイトでのアカウントの取得や事業計画の策定などが必要となります。申請手続きはオンラインで行いますので、必要事項の入力や添付書類のアップロードなどを行い、当局の交付決定を受けた上で、実際にテレワーク用のツールを発注します。

厚生労働省の人材確保等支援助成金

厚生労働省では労働者の人材確保や雇用管理の改善などに資するため、中小企業事業主向けに人材確保等支援助成金制度を設けています。この助成金制度にはいくつかのコースがありますが、新設されたテレワークコースであれば、テレワーク環境を構築するための機器の整備、離職率に関する目標達成のそれぞれについて、最大で100万円の助成を受けることが可能です。この助成金の交付を受けるためには、指定された期限までにテレワーク実施計画を作成の上、管轄する労働局に提出して、その審査を受けなければなりません。認定を受けたテレワーク実施計画にもとづき、評価期間内に具体的な取り組みを実施した場合に限り、助成金の申請をすることができます。
支給対象となる取り組みはいろいろとありますが、たとえば機器の整備であれば、ネットワーク機器やサーバ、ウェブ会議関係機器の整備やサテライトオフィスの利用などが挙げられます。ほかにも担当者や一般の労働者向けの研修、外部専門家によるコンサルティング、就業規則の改正などに要した経費なども助成の対象です。

都道府県による独自の助成金も活用できる

国が直接的に推進している制度のほか、それぞれの都道府県や関連法人がテレワークの普及に向けて独自に実施している助成金制度もあります。東京都で導入されているテレワーク定着促進助成金は、都内の中堅・中小企業などが取り組んでいるテレワークによる職場環境整備のための事業の経費を助成するもので、モバイル端末の整備やソフトウェアの購入・リース、保守管理の委託などの経費が対象となります。
京都府のテレワーク導入支援緊急補助金は、新型コロナウイルス感染症の緊急事態措置として出勤者の7割削減を目標にテレワークを行う事業者を支援する目的で、講師派遣や機器のレンタル・リース、労働者の教育関連経費などに助成するものです。都道府県以外にも市町村レベルで助成を行っている事例も多く、最大で50万円や100万円といった比較的大口の金額を掲げているものも目立ちます。もらい方はそれぞれの自治体によって違いがありますが、基本的な要件に該当していることを確認の上、指定された様式で必要書類を添えて申請するのが一般的です。

テレワークは中小企業レベルでも時代の趨勢として不可避となっており、国や自治体ではさまざまな制度を用いてその普及促進に努めています。経済産業省のIT導入補助金、厚生労働省の人材確保等支援助成金をはじめ、全国の自治体においても独自の助成金制度を設けていますので、この機会に活用してみるとよいでしょう。